通所介護(デイサービス)の記録

デイサービスで必要な記録はこれ!

デイサービスでは様々な記録が必要となりますが、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」によると記録の整備(第百四条の三)として挙げられているのは下記5つ。 (ちなみに保管期限は2年間です。)

  • 一 通所介護計画
  • 二 提供した具体的なサービスの内容等の記録
  • 三 利用者に関する市町村への通知に係る記録
  • 四 苦情の内容等の記録
  • 五 事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

今回は上記二「提供した具体的なサービス内容等の記録」(以下「介護記録)」について、詳しくご紹介します。

介護記録の役割と目的

介護記録は、行政の指導監査対象なっているのでつけなければならないという点以外にも、色々な役割があります。

  • サービスが適切に行われていたという証拠になります。
  • サービス内容を定期的に見直し、ケアの質の向上を目指すことができます。
  • ご利用者の一日の心身状態の変化を記録し、スタッフ間で共有することができます。
  • 日々のバイタル記録は、急変や転倒事故などの緊急時に救急隊や医師、看護師への情報提供に役立ちます。
  • ご利用者様がどのような様子で過ごされていたかを記録し、ご家族へお伝えすることで信頼関係を築くことができます。
介護記録の基本的な書き方

やらなければならない介護記録ですが、「記録を書くのは苦手」「記録を書くのに時間がかかる」「なにを書いたらよいのか分からない」といった声も聞きます。 ポイントを押さえて、うまく記録をつけるように工夫してください。

介護記録のポイント

  • 基本的には、その日に提供した具体的なサービス内容を記載します。
  • 記録を書くときには、計画書の目標の関することを重点的に記載したり、計画書の内容に沿って記録すると、モニタリングがやりやすくなります。
  • ご利用者やご家族も見ることがありますので、専門用語や略語などの使用は避けましょう。またスタッフの移動などもありますので、他の職員が見てもわかりやすい表現を心がけましょう。
  • ご利用日以外の、利用者やご家族、ケアマネジャーさんとの連絡事項や相談内容についても記録します。
  • 上記のようなことを考慮しながら、介護記録をつけるための様式をご用意いただくと、記録の抜けがでなかったり、業務がスムーズに行えると思います。
  • もし通所介護と認知症通所介護など、複数のカテゴリのサービスを同時に提供している場合には、事業所ごとに記録をファイルする必要がありますのでご注意ください。
  • いつ記録をつけるのかについては、業務の合間や、ご利用者を送り出した後など色々ありますが、できるだけ記録作業は勤務時間中に終わらせたいですね。
    といっても、連絡帳・個人記録表・日誌用と色々な書類に記録をする必要がでてきますので、 できるだけ転記せずに済むよう効率的な方法(記録用紙を工夫する、専用ソフトを導入する等)を考えたいですね。
もし記録を残していなかったら

介護業務の行政の基本は記録主義にありますので、記録で確認できないことは、実際に行っていても認められることはありませんので注意が必要です。 うっかり記録をつけるのを忘れてしまい、実地指導の時に記録がないのに請求していることが発覚すると、実績が認められず、 改善命令や報告書の提出、還金(返戻等)となる場合があります。「記録」の不備はサービス提供の事実が確認できず、介護報酬の返還となるケースが多いようです。

介護報酬の返還となると金銭的にも厳しくなるだけでなく、貴社がいままで築いてきた信頼へのダメージともなります。 また、ご利用者への請求金額の訂正やご説明・返金、ケアマネジャー等への書類再作成依頼など大変な手間や労力がかかりますので、記録は日々しっかりつけましょう。

簡単に介護記録を行うための便利なグッズ

業務の中でも重要な介護記録ですが、実際にサービスを提供している最中に記録作業に集中する時間はなかなか確保することはできません。 そこで、効率的にでも確実に介護記録をとる工夫が必要となります。

  • 介護記録をソフトで1回入力すると、連絡帳や社内記録、請求情報へと自動的にデータが反映する機能が搭載されているソフトが、介護ソフト会社より販売されています。 ソフトを使うことで何度も転記する必要がなかったり、ありえないデータを入力しようとするとエラーメッセージで教えてくれたりといったメリットがあります。
    ソフトによって、介護記録は色々なとりかたがあり、出力される帳票の種類も様々なので、貴社で欲しい記録が残せるのか、どのような様式で出力されるのかなどを チェックしてソフトを選ぶ必要があります。
  • 介護記録をつける端末は、大昔が手書きが多かったですが、現在はパソコン、タブレット、スマホなど色々な端末がでています。
    介護記録をできるだけ早く入力するなら「パソコン」。手軽さとそこそこの入力し易さのバランスなら「タブレット」。軽く持ち出しも簡単な「スマホ」。 それぞれの端末には得意・不得意がありますので、端末の特徴を生かして介護記録をスピーディにつけましょう。
  • また、エクセルが大得意であれば、マクロ機能を駆使して連絡帳や社内記録、日誌を連動させるのもいいかもしれません。 エクセルであれば、貴社独自様式も自由に作成できるというメリットもあります。ただし、請求情報まで連動させるのはなかなか難しい点や、 エクセルが得意なスタッフが移動してしまったりすると、使えなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。