次回改正(2024年4月) 居宅介護支援(介護給付費分科会 2023.12.19資料より)

次回改正(2024年4月)を解説 ~ケアプランに関わる居宅サービス系~
次回改正の大まかな改正点が公表されましたので、今回はケアマネジャーさんがケアプランを作成するときに利用する居宅サービスについて確認してみましょう。
厚労省の社会保障審議会・介護給付費分科会の2023年12月19日の資料と、令和5年12月27日の事務連絡通知、第239回社会保障審議会介護給付費分科会の資料をもとに解説します。
結構いっぱいありますので、頑張って説明しますよ~!
1.(全体)改正の実施時期が、4月と6月の2回に分かれる

今年は医療の診療報酬改定の実施時期が6月からとなりました。
そのため、介護保険サービスのうち医療系の4サービスについては診療報酬と同じ6月実施となります。
それ以外のサービスについては、例年通り4月実施です。

・6月実施:居宅療養管理指導、訪問看護、訪問リハ、通所リハ
・4月実施:上記以外のサービス
令和5年12月27日事務連絡通知
2.処遇改善加算が一本化(実施は6月から)

「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ支援加算」の3つに分かれていた処遇改善系加算が、ただの「処遇改善加算」に1本化されます。
一本化後の処遇改善加算は現行の加算や区分を組み合わせた4段階となるようです。(1年間の経過措置期間あり)
また、実施時期については、本体の介護報酬改定時期から2カ月遅れの6月からとなります。
社会保障審議会 介護保険部会資料
3.委託ではなく、直接 要支援者のケアプランを担当できるようになる

要支援者のケアプランは、今までは、地域包括支援センターから居宅介護支援事業所への委託というかたちでしたが
4月からは、居宅支援事業所が直接、要支援者を担当できるようになります。(別途、市区町村からの指定を受けることが必要)
直接担当した場合の報酬は、月額472単位となります。
社会保障審議会 介護保険部会資料
・直接受けるには、事前に指定の申請作業が必要なので、検討されている方はご注意ください。
4.(全体)地域区分の変更、特別地域加算の対象地域の変更

介護保険制度下では、事業所の所在地により級地が決められていて、1級~7級地の場合は単位数単価が高くなります。
例えば、東京23区の場合は1級地なので、訪問介護サービスの場合、1単位あたり11.40円で計算を行います。

今回の改正では、対象地域の変更が行われます。(赤字の部分が変更になった地域です)
社会保障審議会 介護保険部会資料
文字が小さいので、変更となる市町村を下記に抜き出しました。
・東京都調布市 3級地→2級地へ変更
・千葉県浦安市 4級地→3級地
・千葉県袖ヶ浦市 6級地→5級地
・千葉県木更津市 7級地→6級地
・神奈川県厚木市 4級地→3級地
・神奈川県横須賀市 5級地→4級地
・神奈川県三浦市 6級地→4級地
・神奈川県葉山町 6級地→5級地
・神奈川県中井町 その他→6級地
・神奈川県南足柄市 その他→7級地
・埼玉県川口市 6級地→5級地
・埼玉県草加市 6級地→5級地
・埼玉県戸田市 6級地→5級地
・埼玉県八潮市 6級地→5級地
・栃木県下野市 6級地→7級地
・群馬県榛東邑 その他→7級地
・群馬県吉岡町 その他→7級地
・山梨県南アルプス市 その他→7級地
・山梨県南部町 その他→7級地
・岐阜県美濃加茂市 その他→7級地
・愛知県刈谷市 4級地→3級地
・愛知県豊田市 4級地→3級地
・愛知県知立市 6級地→5級地
・愛知県豊明市 6級地→5級地
・愛知県一宮市 7級地→6級地
・愛知県犬山市 7級地→6級地
・愛知県江南市 7級地→6級地
・愛知県尾張旭市 7級地→6級地
・愛知県岩倉市 7級地→6級地
・愛知県武豊町 その他→7級地
・滋賀県近江八幡市 その他→7級地
・滋賀県竜王町 その他→7級地
・京都府長岡京市 6級地→5級地
・京都府城陽市 7級地→6級地
・京都府大山崎町 7級地→6級地
・奈良県大和高田市 6級地→級地7
・大阪府四条畷市 3級地→4級地
・広島県熊野町 その他→7級地

また、山間部地域の場合も、特別地域加算という15%割増になる加算を算定できますがこちらの地域も見直しが行われます。
(具体的な地域の公表はまだされていません)
5.(訪問介護)特定事業所加算の算定要件、区分を見直し

訪問介護の特定事業所加算のうち、加算Ⅳは廃止となり従来の加算Ⅴが、新加算Ⅳとなります。そして新たに、加算Ⅴが新設されました。
社会保障審議会 介護保険部会資料
また、算定の要件も変わっているので、いままで特定事業所加算Ⅰ~Ⅲを算定していた訪問介護事業所も、区分が変更となる可能性があります。
6.(訪問介護)同一建物等居住者への報酬見直し

今までは3区分でしたが、1区分追加されました。
従来は、事業所と同一建物か近隣の建物に居住する利用者が49人以下の場合は10%減算でしたが、4月からは、12%減算となります。
社会保障審議会 介護保険部会資料
7.(福祉用具)一部の福祉用具は、貸与と販売の選択制に

福祉用具貸与品についても、変更があります。
比較的安い商品で、購入した方が利用者の負担が少なくて済む割合が高いものは、貸与と販売のどちらにするか選択できるようになります。
(今までは、貸与のみでした)

・固定用スロープ
・歩行器(歩行者を除く)
・単点杖(松葉づえを除く)及び多点杖
社会保障審議会 介護保険部会資料
貸与にするか、販売にするかは福祉用具の専門相談員やケアマネジャーが、ご利用者へ提案を行うことになります。
8.(短期生活)長期利用で施設入所と同様の利用形態の場合、報酬の見直し

特別養護老人ホームのショートステイ(短期入所生活介護)を、長期間利用した場合の減算が追加されました。
今までは、30日以上で一律減算でしたが、60日以上利用した場合には、さらに基本報酬が減算となります。

また、長期利用減算がなかった、要支援者についても長期利用減算が追加されました。
社会保障審議会 介護保険部会資料
9.(通所リハ)通所リハの事業所規模が3区分から2区分へ変更

従来、通所リハビリテーションは利用者数によって「通常規模」「大規模型Ⅰ」「大規模型Ⅱ」の3つに分かれていました。
今後は、「通常規模」「大規模型」の2つとなります。

また、利用者数が大規模型に相当する人数がいても一定の条件を満たせば、通常規模の報酬を算定できるようになりましたので、
大規模型の人数が多い事業所でも、減算にならない場合もありますので、詳しくは各事業所への確認が必要ですね。
社会保障審議会 介護保険部会資料
10.(訪問リハ)要介護と要支援者で基本報酬が変わる

要介護と要支援で基本報酬が同じだった、訪問リハビリテーションですが、今回から変わります。
(要介護が1単位上がり、要支援は減額となりました)
社会保障審議会 介護保険部会資料
11.(リハ系)要支援者の通所リハ・訪問リハは、12カ月利用減算を拡大

要支援への、予防訪問リハビリテーションと予防通所リハビリテーションは利用開始から12カ月経過すると減算となっていました。
今回の改正で、さらに大幅に減算されることになりました。
(例えば、訪問リハの場合今までが-5単位/回だったのが、-30/回単位)

ただし、LIFEへの情報提出やフィードバックの活用といった、一定の条件を満たせば減算となりませんので 頑張れば、減算を回避できそうですね。
社会保障審議会 介護保険部会資料
12.(通所系)要支援者への運動器機能向上加算を基本報酬へ包括化

要支援への、予防通所リハビリテーションの運動器機能向上加算はなくなり、基本報酬に含まれることとなりました。
ただし、以前の報酬に比べると要支援1で10単位、要支援2で4単位の減額となります。
社会保障審議会 介護保険部会資料 社会保障審議会 介護保険部会資料
13.(訪問看護)PT等の場合、基本報酬と12カ月超減算の見直し

訪問看護のうち、理学療法士や作業療法士がメインでサービスを提供している事業所の場合、減額となります。
(1回につき8単位の減算)
また、要支援の場合、利用開始から12カ月経過した場合はさらに15単位減算されます。
社会保障審議会 介護保険部会資料
14.その他

基本報酬の見直しや新設の加算など細かい内容はありますが、ケアプランに反映しそうな その他の改正事項として、下記の内容があります。
  • 看取り系の加算が追加(訪問入浴、訪問看護等々)
  • 訪問・通所リハビリの口腔・栄養加算を一体化
  • 訪問・通所リハビリのリハビリテーションマネジメント加算の見直し
おわりに

改正後の基本報酬も発表されましたので、今後はサービスコードや細かい解釈の公表が待たれますね。

今回の豆知識の詳しい内容を知りたい方は、下記の厚労省資料へどうぞ!
・改正事項の全般的な内容、及び改定後の報酬(改訂後の報酬は、上記リンク先PDFのP168ページ以降をご覧ください。)
・審議会全体の資料はこちらをご参照ください。