介護ソフトの選び方

介護ソフトとは?

「介護ソフト」とは介護保険のサービスを提供する事業所が使う、業務用ソフトのことです。

主な機能としては、利用者さん(介護保険では介護をうけるお年寄りの方を利用者と呼びます)の住所や連絡先、家族情報などの管理、 サービス計画書の作成、サービス内容の記録、介護保険請求、利用者負担分の請求書の発行などの機能があります。

介護ソフトの種類

現在、介護ソフトは大きくわけて「パッケージ型」と「クラウド(ASP型)」の2種類があります。

■パッケージ型のメリット、デメリット

「パッケージ型ソフト」とは、事業所のパソコンにCD-ROMなどでソフトをインストールして利用するソフトの事です。

メリット

  • 利用者さんの個人情報をソフト会社に預ける必要がないので、社内のみで管理できるため安心。
  • 乗り換えなどで別のソフトにした後でも、従来のソフトを利用できる場合が多いため、過去のデータも閲覧可能。 (利用者の方が介護保険サービスの終了した後、最低2年は書類の保管義務があります。自治体によっては5年の場合も。)
  • いちばん忙しく、皆が使う請求時期でも、ソフトの動作が遅くならない。 (クラウド型の場合、アクセスが集中すると動作が遅くなる場合が多いようです)

デメリット

  • データのバックアップは自分で行わないといけない。(入力したデータは社内に保管されているため、 パソコンのトラブル等に備えて定期的にバックアップを取る必要があります)
  • 事業所の外からソフトを使うには、別途オプションが必要な場合が多い(基本的には社内での利用となるため、 社外からソフトを使用したい場合には「VPN」など外部から社内へアクセスできる機能が必要)
  • 初期導入費用が比較的高い。後述のクラウド型に比べパッケージ型は、一括購入や頭金などが必要な場合があります。

■クラウド(ASP型)のメリット、デメリット

「クラウド(ASP)型ソフト」とは、ソフト会社がインターネットを通じて事業所へソフトを提供する形式のソフトです。 入力されたデータはソフト会社のサーバで保管・管理されます。

メリット

  • インターネット環境があれば、どこからでも利用できる。(社内のパソコンだけでなく、 外出先の車内や自宅からもインターネット環境があればソフトを利用することができます。)
  • データはソフト会社が管理してくれるので、社内のパソコンが壊れてもデータは残っていて便利。
  • 初期導入時の費用が比較的安い。(クラウド型の場合、月額○○円という料金設定なので、パッケージ型に比べて手軽な金額で導入することができます。)

デメリット

  • 利用者さんの個人情報をインターネット上に保管することになるので、社内で保管するパッケージ型に比べて 情報漏えい等のセキュリティ上のリスクは高くなります。検討しているソフト会社のセキュリティ管理を確認したり、 社内のIDやパスワード管理をしっかり行う必要があります。
  • 乗り換えなどで別ソフトにした場合、手元にデータが残らないので情報をすべて印刷して保管しておく必要がある。 (クラウド型の場合、社内にデータは残っていないので、ソフトの利用を中止すると今まで入力した情報は見られなくなります。)
  • 長年利用する場合、パッケージ型よりも高額になる場合がある。(例えば月額25,000円のクラウド型の場合、 5年間の支払累計は150万円となるので、もしかしたらパッケージ型の方が合計支払額は安くなるかもしれません)
介護ソフトの選び方 その1(機能)

色々なソフトを見ていると、機能がたくさんついているソフトの方が良い気がしてきます。でも多くの機能がついている場合 値段が相応に高額だったり、機能が多いためにどうしても使い方が分かりにくくなってしまう場合があります。 業務のどこを「楽」にしたいのか、もう一度しっかり把握しましょう。それから、ご自身の業務を「楽」にできるソフトを選ぶと、最適なソフトが見つかるはずです。

■どの業務を助けて欲しいのか見極めて!

  • まず、業務のどこを「楽」にしたいのか、はっきりさせる。(介護記録に時間がかかっている、請求用データを二度打ちしている。。。)
  • 自身が欲しい業務を助けてくれるソフトを探す。(介護記録に特化しているソフト、請求のみ簡単にできるソフト、伝送だけできるソフトなど、オールインワンソフト以外も、実は色々あります。また得意分野も結構違います。)
介護ソフトの選び方 その2(サポート・法改正)

介護ソフト本体と同じくらい大切なのが、サポート体制。毎日の業務で使用するものだから、安心できる会社を選びたいですね。

  • 毎月1日~10日の請求時期など、繁忙期でもサポート窓口がスムーズにつながるか確認。
  • 数年に1度必ずある、介護保険制度改正時に、ソフトのバージョンアップはいつ頃行われるのか? 例えば4月改正実施の場合、3月中にバージョンアップしてくれるのか?(特にケアマネジャーさんは前月中にケアプランを作成、配布しなくてはならないため早めに欲しいですね)
  • パソコンや電子機器に自信がない場合には、ソフトの使い方だけでなくて、プリンターなどの周辺機器についても教えてくれる会社がおすすめ。
  • 介護ソフトは何年も毎日利用するので、ソフト本体も大事だけど、サポートも大事!(改正も頻繁にありますしね)
介護ソフトの選び方 その3(価格)

必要経費は安ければ、安いほどうれしい。確かにそうです。でも、価格だけで選んでしまうとかえって損する結果になってしまうかも知れません。

  • 例えば、シフトは事務担当者がエクセルで、請求はソフトで、給与計算は税理士(社労士)さんに依頼している場合。実はそれぞれに、費用や時間がかかっています。 シフト管理、請求、給与計算機能がすべて入っているソフトならば、月額数万円かかったとしても、トータルで考えたらもしかしたら、だんぜん安いかもしれません。
  • また、事務を効率化することで、事務作業にかかっていた時間が減り、・営業する時間を増やせたり、・今までよりも多くのご利用者を担当できたり、 ・帰宅時間が早くなることでスタッフのモチベーションが上がる効果も期待できます。
  • 価格は会社によって、月数千円~数万円まで幅広い。さらに、支払い方法も、一括・リース・月額利用料形式など様々。最低5年間利用した場合の総合計金額くらいはチェックしたい。

■バランスが大事。ソフトを購入するというのは結局「時間」と「人手」を買っている。

ソフト購入時の助成金について

補助金の受付期間であれば、行政からの補助金でソフト購入費用の一部が賄える場合もあります。

  • it導入補助金 2019年度(経済産業省):補助金額 40万~450万円 ・補助率 1/2 ・対象 ソフトウエア費(パソコンなどのハードは不可)・申請方法はソフト会社へ。
  • ICT導入支援事業 2019年度(厚労省):補助金額 30万円まで ・補助率 1/2 ・対象 ソフトウエア及びハードウェア費(タブレットなども可)・申請方法などの詳細はソフト会社へ。